3次元モデルの軽量化手法


 3次元モデルの軽量化手法は,肥大化する3次元形状の冗長性を削減し, 様々なアプリケーションに適用可能な,基本的で重要な技術です.

 3次元モデルの特徴を保存しながら,データを軽量化するためのアルゴリズムとして, QEM 手法があげられます. QEM 手法は,頂点を縮退した後の詳細さと軽量化速度の間で,最も良いバランスを持つアルゴリズムのひとつです. しかし,QEM 手法は,一度にひとつの稜線しか削除できない逐次的なアルゴリズムであるため, 膨大な3次元モデルの軽量化には時間がかかります.

 PC クラスタは,メモリ分散型の計算環境として一般に用いられており, 複数のPC を束ねることで,計算資源を拡大することができます.本研究では, QEM 手法をPC クラスタ環境で動作させるための分散化手法について提案します. PC クラスタを利用することで,安価なシステムにより3次元モデルの特徴を維持しながら, 高速に軽量化することが可能となります.




■実験例1(馬)

(a) 元のポリゴンモデル (b) 領域分け例 (c) 軽量化前の形状
(d) 1パス目の軽量化後の形状 (e) 2パス目の軽量化後の形状 (f) 軽量化後のポリゴンモデル

 (a)は,馬のデータを表すポリゴンモデルです. このモデルを領域分割し,それぞれの領域を PC クラスタへ分散させ,軽量化を行います. 軽量化は,各領域の内側にある稜線を対象とします. その結果,(d) のように領域内のポリゴンが軽量化されるので,これらを統合化し,さらに軽量化を行います.




■実験例2(船)

(a) 元のポリゴンモデル (b) 領域分け例 (c) 軽量化前の形状
(d) 1パス目の軽量化後の形状 (e) 2パス目の軽量化後の形状 (f) 軽量化後のポリゴンモデル



■2007年度 A&T東北応募作品

■2005年度 A&T東北応募作品